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一歩の勇気で【サクラ咲く (BOOK WITH YOU)】

サクラ咲く (BOOK WITH YOU)サクラ咲く (BOOK WITH YOU)
(2012/03/17)
辻村 深月

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若美谷中学1年 塚原マチは
自己主張の出来ない自分を変えたいと願っていた
そんな彼女がある日
図書室の本に挟まれた助けを求めるメッセージを見つける
何度もそれを見つけたマチは
勇気を出して書き主のわからないそのメッセージに向けて返事を書く
助けを求める誰かに応えるために

中高生の抱える悩み、想いを
等身大に描く爽やかなジュナイブル小説
表題他2編からなる連作作品

進研ゼミ「中学講座」で
連載されていた作品だけに
まさに中学生に向けた作品
その等身大感、読後の爽やかさがよい

1編のみちょっとSFを交えているが
基本は悪人のいない世界
予定調和な話と言ってしまえば
それまでですが
少しの勇気で自分を変えていける
自分が変われば世界も変わっていく
というこの年代、特有の感覚を
共感が持てるように
程よいリアルとメルヘン按配で
書かれているのは心地よかったです

学校という空間の箱庭感
そのひとつの側面である閉塞感
そこからの脱却に悩むというのは
やはり誰しも通る、通った道なんでしょうね
その辺の空気感の表現がうまい印象

短編3作収録でそれぞれで前段の登場人物の成長した姿を
匂わせるなど連作としてもなかなか巧み
優しい世界観で終始温かな気持ちで読める作品でした

キャラとしては表題作の主人公でもある
塚原マチが好きですね
引っ込み思案の少女
自分らしさを形成するものを
確かに持っているのにそれに自信が持てない
そんな彼女がゆっくりと少しの勇気で前へ進んでいく
少しの勇気で世界はいくらでも広げていける
それを一番、共感できる形で感じられる主人公でした

三編目で脇役として登場する際の佇まいも
らしさを失わず、そのまま成長していったのを
感じられる所作で
ほんわりとした気持ちにさせてもらいました

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1 Comments

藍色

こんにちは。同じ本の感想記事を
トラックバックさせていただきました。
この記事にトラックバックいただけたらうれしいです。
お気軽にどうぞ。

  • 2013/09/03 (Tue) 14:49
  • REPLY

1 Trackbacks

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  •  「サクラ咲く」辻村深月 (BOOK WITH YOU)
  • 若美谷中学1年5組の塚原マチは、自分の意見を主張できない、頼み事を断れない、そんな性格を直したいと思っている。ある日、図書室で本をめくっていると、一枚の紙が滑り落ちた。...
  • 2013.09.03 (Tue) 14:43 | 粋な提案