読んだ本(2020)
2020年読了本まとめ
覚書代わりにペタリ
一部ネタバレ感想付
昨年分では
日常の謎系ミステリながら
ボーイミーツガール的に始まる
年代的な語りの主人公と相方の関係性の成長、変化が
青春!な感じの似鳥鶏さん作品以下2作がぐっときました^^
「名探偵誕生」
「彼女の色に届くまで」
2020年振り返ると
例年通り読みたい積み本はたまる一方
またも積みが増えました
やはり仕事が慌ただしくなると
フィクションに浸れず
文字が上滑りして読めなくなってのパターンだなぁ
覚書代わりにペタリ
一部ネタバレ感想付
昨年分では
日常の謎系ミステリながら
ボーイミーツガール的に始まる
年代的な語りの主人公と相方の関係性の成長、変化が
青春!な感じの似鳥鶏さん作品以下2作がぐっときました^^
「名探偵誕生」
「彼女の色に届くまで」
2020年振り返ると
例年通り読みたい積み本はたまる一方
またも積みが増えました
やはり仕事が慌ただしくなると
フィクションに浸れず
文字が上滑りして読めなくなってのパターンだなぁ
2020年の読書メーター
読んだ本の数:20
読んだページ数:5980
ナイス数:176
マツリカ・マハリタ (角川文庫)の感想
Sな謎の少女マツリカと柴犬系ワトソン・柴山君のシリーズ第2弾。自殺したという少女の幽霊の学園の怪談を軸とした連作短編。思春期らしい悩みや人間関係が絡む学園の日常の謎系ミステリは少年少女の繊細な自意識を描き込んだキャラ描写の巧さと認識の死角や齟齬を主としたトリック、その謎の終編でのミステリとしての収束のカタルシスとが相まって前作同様クオリティ高く、満足感がありました。2作目という事で陰キャ自虐の柴山君が人間関係への踏み出し方等で成長が見られるのも見所。何気にモテ期で笑うがそれ含め彼の小さな成長が清々しい。
読了日:10月17日 著者:相沢 沙呼
マツリカ・マジョルカ (角川文庫)の感想
柴犬呼ばわりのワトソン役・陰キャ男子・柴山の学園生活の中の思春期の人間関係のほろ苦さを含んだ日常の謎を廃墟に住む魔女のような美貌と雰囲気を持った謎のJKマツリカが紐解く青春ミステリ。連絡短編として小さな伏線をちりばめつつ、終編でひとつの秘密を明らかにする流れはライトな文章に油断していた事もあり、切なさから中々に心を掴れた。この作者さんの強みだが、どこかであってもよさそうな学園生活の中の思春期男子のフェチ含む内面描写が巧く、それがキャラの繊細な心の機微にまで描き出していくので尚、ラストの余韻が引き立っていた
読了日:10月11日 著者:相沢 沙呼
名探偵・森江春策 (創元推理文庫)の感想
作を重ねたシリーズ物の一つとは知らず、シリーズ初回読み。小学生時代から思春期、青年期と将来私立探偵となるひとり男の各時代での年代記的5編からなる連作短編。語り口や昔の怪奇的雰囲気漂う事件に、古き良き少年向け探偵小説の空気を感じられよかったが、ラストの1編がそこまでの4編の論理を重ねる推理小説寄りだった枠からひっくり返す夢オチ系に近いエンドでもやもや感。その締めで終わるのであればそれこそ少年向け探偵冒険小説として売られていればよいが、創元推理文庫で本格ミステリ読者必読と売られると個人的には納得し辛いかなぁ。
読了日:09月28日 著者:芦辺 拓
Hello,Hello and Hello ~piece of mind~ (電撃文庫)の感想
本編で細かく語られなかったエピソード、キャラの想いを補完する番外編。本編を楽しめたのなら本編のsideB的な話と同窓会気分が楽しめるちょっと未来のエピローグで構成されているので、本編の記憶が薄れる前に連続読み推奨。本編でも感じたが和らな雰囲気ある文章作りと掌編から短編程度の長さの中での切ない物語を作るのが巧い印象を再認。一方で雰囲気づくりの為に文章がフワフワしている感があるので人によっては読みにくさがあるかも。
読了日:08月19日 著者:葉月 文
Hello,Hello and Hello (電撃文庫)の感想
一週間ラバーズ、椎名「ユキ」の消失。1週間毎に世界からその存在をなかった事にされてしまう少女の4年間の本当だったら、ありふれたつまんない恋。世界で一番幸福な恋のホワイトアルバム。不倶戴天の敵も一生ものの親友も作れない彼女が積み上げた恋の時間。特殊設定ありきの雰囲気作品で整合性や大きなカタルシスを伴う奇跡を期待すると肩透かしだが、淡い想いを長年かけて積み上げる切ない恋の物語の雰囲気感を作る点に一点突破で構成されており、雰囲気のよい作品だった
読了日:08月19日 著者:葉月 文
名探偵誕生の感想
綺麗で聡明な名探偵である隣のおねーちゃんへの初恋のはじまりと終わりまで、ミステリと共に彩られた少年の成長の10年間を描く青春物語。ワトソン役である少年みーくんがおねーちゃんの背中を追い、真っ直ぐな青さを失うことなく育っていく姿が実に清々しい。キラキラしていて甘酸っぱくもあり切なくもあり、でも、その相手を想う心は自身を成長させれくれる、最後に彼の選んだ「終わり」も含めて良い恋したと振り返れるであろう彼の初恋の時間が美しかった。どうか彼に幸福を。
読了日:08月19日 著者:似鳥 鶏
むすぶと本。 『さいごの本やさん』の長い長い終わりの感想
店長の急死により閉店する事となった老舗書店の最期の一週間。この場所に想い出をもつ客たちが懐かしい本や人と再会。在りし日を偲んだり、燻った気持ちに区切りをつける切なさと暖かさある本屋さんの物語。全編にあふれる本、書店への愛、ノスタルジーが心地よい。ただ本屋を舞台とした群像劇的な側面で綺麗な物語なので、個人的には本と話せる少年むすぶといったファンタジー部分は今作においてはノイズになっている印象。「むすぶと本」シリーズではなく、ファンタジー部分をカットした独立した物語の方がより綺麗に纏まった気も。
読了日:08月18日 著者:野村 美月
彼女の色に届くまで (角川文庫)の感想
画家として天賦の才を持つ少女・千坂と画商の息子・緑くんの出会いから彼女の真実に届くまでの日常の謎ミステリと共に彩られた数年間を描く。微笑ましい二人の距離に青春恋愛モノの側面で楽しませてもらった。緑君と友人・風戸、千坂の3人がメインだが、そのコミカルさもある掛け合いからは彼らの変人だけど真っ直ぐな気性が感じられて心地よい。また才を持つ者との壁への悩みを持たざる者である緑くん側から描くが、彼が悩みつつも決して腐らない好感の持てる人物であるからこそ千坂とのその関係性をいつまでも見守りたいと思わせる魅力があった
読了日:08月18日 著者:似鳥 鶏
本バスめぐりん。 (創元推理文庫)の感想
移動図書館の新人運転手に定年退職後になったごく普通のおじさんといったテルさんと体育会系の元気溢れる司書のウメちゃんのコンビによる移動図書館の日常を巡るハートフルミステリ短編集。本に纏わるお仕事系小説、ミステリを得意とする筆者らしく、そこに関わる人々から描きだすゆったりとした時間の流れを感じる移動図書館の日常はさすがの空気感。雨の日も晴れの日もたくさんの本と共にそこにある移動図書館。ちょっとしたノスタルジー感と共にそれが変わらずにそこにあってほしい、そんな気持ちを喚起させられる一作でした
読了日:08月16日 著者:大崎 梢
SSSS.GRIDMAN NOVELIZATIONS Vol.1: ~もう一人の神~ (ガガガブックス)の感想
アニメ中盤からのifストーリー。続き前提第1巻。キャラの描写の仕方等を考えるとアニメ視聴済前提の作品。本家キャラの雰囲気はきちんと出ている、新しい謎を含んだストーリーでアニメファンなら十分楽しめるが、純粋な描写力や構成は淡々としており、序盤は退屈な文章になっている感あり
読了日:08月14日 著者:水沢 夢
入社3年目までに必ず身につけておきたい仕事のこと34 (自己啓発)の感想
歯科医師。経営コンサルタント。社会人としてのマインドをまず身に着けなさい。「自責」で物事を考える。どうすれば他者への貢献が出来るようになるかのマインドと実行。その繰り返しの中に社会人としての「自分のための自分」を見つける。滅私奉公をマインドにより奉私奉公に変える。
読了日:08月14日 著者:井上 裕之
むすぶと本。 『外科室』の一途 (ファミ通文庫)の感想
本の声が聞こえる少年が本の求めに応じて行き場を失った本に纏わる物語の背中を押す本の為の物語。本を介した切なくも美しい物語をメインディッシュにコミカルなモノを含む5編の短編集。筆者お得意のネタであろう事が伺え、物語としては綺麗で程よい読み応えがある。一方で主人公の在り方が見方によってはある種、狂人的で人として欠けていると取れなくもなく、今巻だけでは魅力に乏しい。伏線は散りばめられているので彼をどう描くかで作品として魅力がまた変わると思うが、シリーズとしてその核心を引っ張ると核心に届く前に打ち切られる懸念も
読了日:08月12日 著者:野村 美月
きのうの影踏み (角川文庫)の感想
百物語風ショートショート集。日常と薄皮一枚隣り合わせの場所にあるホラー。短い中でそういう「雰囲気」を語る巧さを感じられるが、モチーフに共通項のある作品もあれど基本、独立した短編未満の長さのショートショート集なので読みごたえを期待すると肩透かしな面はあり
読了日:02月17日 著者:辻村 深月
終わった恋、はじめました (講談社タイガ)の感想
あの日、踏み出せなかったが故に終わってしまった、だけど今も囚われている大切な初恋に区切りをつける為に難病を抱えていた彼女を探す旅。旅先で色々な人の想いの形や区切りのつけ方に出会い、時に寄り添い、共感しながらあの日、踏み出せなかった一歩を踏み出す勇気を得る。全編通して穏やかな筆致、優しく透明感ある雰囲気の綺麗な物語。「これから」を感じさせるも多くを語らないスッとした幕切れがそんな物語の美しさを際立たせていた。
読了日:02月12日 著者:小川 晴央
スガリさんの感想文はいつだって斜め上 2 (5分シリーズ+)の感想
個性の強い美少女JKが一風変わった切り口で古典名作の読書感想文を書き、それに纏わる日常の謎系ミステリが展開される第2巻。読書感想文パートの切り口は相変わらず面白いが、本編が2巻早々にしてキャラを持て余して物語を順序立てて必要な描写をしきれていない印象。キャラクター小説のレーベルなので致し方ないかもしれないが、キャラの属性ありきで「なぜ」彼は、彼女はそういう行動をしたのかが弱く、物語やキャラクターへの共感、説得力が薄かった。
読了日:02月11日 著者:平田駒
虚構推理 スリーピング・マーダー (講談社タイガ)の感想
過去に「妖」の力を借りて行われた殺人事件を端とした富豪一族の遺産配分をかけた推理合戦で描かれるは、踏み込まざるべき場所へ踏み込んだ人間への因果応報。ミステリの定型シチュの中でそれを逆手に取るように虚構を重ねてより真実らしい虚構を構築する二転三転する展開の先、つまびらかにされる真実という流れはある種、推理小説の醍醐味に溢れていてこのシリーズらしい。また琴子と九郎、彼らの追う六花の本質、人ならざる者の危うさが具体的に語られ、今後のシリーズ展開も期待させる雰囲気もあった
読了日:02月10日 著者:城平 京
青春ブタ野郎は迷えるシンガーの夢を見ない (電撃文庫)の感想
新キャラ続々、黒幕っぽいキャラも登場と新たな世界観の広がりを感じさせる新章らしい大学編スタートの第10巻。そんな中でも既存キャラに各々「らしさ」を感じさせるシーンが印象的に描けている辺りはさすが(個人的には空気読める後輩・朋絵とのやり取りが印象的)。またお話のテーマも『空気を読めるようになるという社会的生き物としての成長の中で見失った「自分」を改めて見つける』、このシリーズらしいお話。話の中心となった彼女がそんな思春期の壁を越え、また新しいステージへ踏み出していくラストは青臭くも眩しい清々しいモノでした。
読了日:02月07日 著者:鴨志田 一
勇者のセガレ4 (電撃文庫)の感想
俺たちの戦いはこれからだEND。学生さんの人生の岐路での決意と第一歩をファンタジーというフィルターを通して描くラストは清々しい後味、物語の伏線は黒幕がしゃべるという定番の巻き展開はあったものの最低限まとまった着地、と読了感は悪くない。それだけに「恋する女の子は強い」ヒロインふたりと振り回される守られ系だけどいざという時はその胆力で魅せる主人公というメインをはじめとしたキャラクターたちの魅力が高まってきた中での打ち切りまとめのような形となったのは惜しいなと感じる処。
読了日:02月07日 著者:和ヶ原 聡司
巴里マカロンの謎 (創元推理文庫)の感想
ちょっと鼻につく謎解き中毒・小鳩君とうかつに触るな危険小動物・小佐内さん、出しゃばらない「小市民」を目指す二人の高校生の日常の謎系シリーズ11年ぶりの新作。シリーズのサイドストーリー的連作短編でラストのカタルシスは本編に比べてやや落ちるも日常の謎系として各編含め綺麗に纏まっているのは流石。主人公ふたりの決して綺麗な正義感だけではない等身大感ある行動や思想の果てのほろ苦さある展開や「互恵関係」という浅すぎず、深すぎずな二人の距離感、小気味良いやり取りだったりはシリーズファンとしては懐かしく、非常に楽しめた。
読了日:02月02日 著者:米澤 穂信
神さまの探しもの (メディアワークス文庫)の感想
猫たちと彼らを統べる猫神様が見守る未だ活気残る古き良き商店街にやってきた好奇心旺盛元気いっぱいといった小さな女の子の姿をした新しい神さま「みつける」さんが商店街の人達に寄り添い、失くしそうになっていた大切な「モノ」を見つけ、見つけさせてあげる物語。連作短編的構成で各話のオチや全体の流れは古典的ともいえる古き良き人情物語。そんな物語を今風な雰囲気をほんのりのせた筆致で描いているが、安易なラノベ的萌えやラブコメ要素はなく、人情物語に徹しており、結果、非常に読み心地の優しい温かい物語に仕上がっていた。
読了日:01月25日 著者:扇風気 周
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Sな謎の少女マツリカと柴犬系ワトソン・柴山君のシリーズ第2弾。自殺したという少女の幽霊の学園の怪談を軸とした連作短編。思春期らしい悩みや人間関係が絡む学園の日常の謎系ミステリは少年少女の繊細な自意識を描き込んだキャラ描写の巧さと認識の死角や齟齬を主としたトリック、その謎の終編でのミステリとしての収束のカタルシスとが相まって前作同様クオリティ高く、満足感がありました。2作目という事で陰キャ自虐の柴山君が人間関係への踏み出し方等で成長が見られるのも見所。何気にモテ期で笑うがそれ含め彼の小さな成長が清々しい。
読了日:10月17日 著者:相沢 沙呼

柴犬呼ばわりのワトソン役・陰キャ男子・柴山の学園生活の中の思春期の人間関係のほろ苦さを含んだ日常の謎を廃墟に住む魔女のような美貌と雰囲気を持った謎のJKマツリカが紐解く青春ミステリ。連絡短編として小さな伏線をちりばめつつ、終編でひとつの秘密を明らかにする流れはライトな文章に油断していた事もあり、切なさから中々に心を掴れた。この作者さんの強みだが、どこかであってもよさそうな学園生活の中の思春期男子のフェチ含む内面描写が巧く、それがキャラの繊細な心の機微にまで描き出していくので尚、ラストの余韻が引き立っていた
読了日:10月11日 著者:相沢 沙呼

作を重ねたシリーズ物の一つとは知らず、シリーズ初回読み。小学生時代から思春期、青年期と将来私立探偵となるひとり男の各時代での年代記的5編からなる連作短編。語り口や昔の怪奇的雰囲気漂う事件に、古き良き少年向け探偵小説の空気を感じられよかったが、ラストの1編がそこまでの4編の論理を重ねる推理小説寄りだった枠からひっくり返す夢オチ系に近いエンドでもやもや感。その締めで終わるのであればそれこそ少年向け探偵冒険小説として売られていればよいが、創元推理文庫で本格ミステリ読者必読と売られると個人的には納得し辛いかなぁ。
読了日:09月28日 著者:芦辺 拓

本編で細かく語られなかったエピソード、キャラの想いを補完する番外編。本編を楽しめたのなら本編のsideB的な話と同窓会気分が楽しめるちょっと未来のエピローグで構成されているので、本編の記憶が薄れる前に連続読み推奨。本編でも感じたが和らな雰囲気ある文章作りと掌編から短編程度の長さの中での切ない物語を作るのが巧い印象を再認。一方で雰囲気づくりの為に文章がフワフワしている感があるので人によっては読みにくさがあるかも。
読了日:08月19日 著者:葉月 文

一週間ラバーズ、椎名「ユキ」の消失。1週間毎に世界からその存在をなかった事にされてしまう少女の4年間の本当だったら、ありふれたつまんない恋。世界で一番幸福な恋のホワイトアルバム。不倶戴天の敵も一生ものの親友も作れない彼女が積み上げた恋の時間。特殊設定ありきの雰囲気作品で整合性や大きなカタルシスを伴う奇跡を期待すると肩透かしだが、淡い想いを長年かけて積み上げる切ない恋の物語の雰囲気感を作る点に一点突破で構成されており、雰囲気のよい作品だった
読了日:08月19日 著者:葉月 文

綺麗で聡明な名探偵である隣のおねーちゃんへの初恋のはじまりと終わりまで、ミステリと共に彩られた少年の成長の10年間を描く青春物語。ワトソン役である少年みーくんがおねーちゃんの背中を追い、真っ直ぐな青さを失うことなく育っていく姿が実に清々しい。キラキラしていて甘酸っぱくもあり切なくもあり、でも、その相手を想う心は自身を成長させれくれる、最後に彼の選んだ「終わり」も含めて良い恋したと振り返れるであろう彼の初恋の時間が美しかった。どうか彼に幸福を。
読了日:08月19日 著者:似鳥 鶏

店長の急死により閉店する事となった老舗書店の最期の一週間。この場所に想い出をもつ客たちが懐かしい本や人と再会。在りし日を偲んだり、燻った気持ちに区切りをつける切なさと暖かさある本屋さんの物語。全編にあふれる本、書店への愛、ノスタルジーが心地よい。ただ本屋を舞台とした群像劇的な側面で綺麗な物語なので、個人的には本と話せる少年むすぶといったファンタジー部分は今作においてはノイズになっている印象。「むすぶと本」シリーズではなく、ファンタジー部分をカットした独立した物語の方がより綺麗に纏まった気も。
読了日:08月18日 著者:野村 美月

画家として天賦の才を持つ少女・千坂と画商の息子・緑くんの出会いから彼女の真実に届くまでの日常の謎ミステリと共に彩られた数年間を描く。微笑ましい二人の距離に青春恋愛モノの側面で楽しませてもらった。緑君と友人・風戸、千坂の3人がメインだが、そのコミカルさもある掛け合いからは彼らの変人だけど真っ直ぐな気性が感じられて心地よい。また才を持つ者との壁への悩みを持たざる者である緑くん側から描くが、彼が悩みつつも決して腐らない好感の持てる人物であるからこそ千坂とのその関係性をいつまでも見守りたいと思わせる魅力があった
読了日:08月18日 著者:似鳥 鶏

移動図書館の新人運転手に定年退職後になったごく普通のおじさんといったテルさんと体育会系の元気溢れる司書のウメちゃんのコンビによる移動図書館の日常を巡るハートフルミステリ短編集。本に纏わるお仕事系小説、ミステリを得意とする筆者らしく、そこに関わる人々から描きだすゆったりとした時間の流れを感じる移動図書館の日常はさすがの空気感。雨の日も晴れの日もたくさんの本と共にそこにある移動図書館。ちょっとしたノスタルジー感と共にそれが変わらずにそこにあってほしい、そんな気持ちを喚起させられる一作でした
読了日:08月16日 著者:大崎 梢

アニメ中盤からのifストーリー。続き前提第1巻。キャラの描写の仕方等を考えるとアニメ視聴済前提の作品。本家キャラの雰囲気はきちんと出ている、新しい謎を含んだストーリーでアニメファンなら十分楽しめるが、純粋な描写力や構成は淡々としており、序盤は退屈な文章になっている感あり
読了日:08月14日 著者:水沢 夢

歯科医師。経営コンサルタント。社会人としてのマインドをまず身に着けなさい。「自責」で物事を考える。どうすれば他者への貢献が出来るようになるかのマインドと実行。その繰り返しの中に社会人としての「自分のための自分」を見つける。滅私奉公をマインドにより奉私奉公に変える。
読了日:08月14日 著者:井上 裕之

本の声が聞こえる少年が本の求めに応じて行き場を失った本に纏わる物語の背中を押す本の為の物語。本を介した切なくも美しい物語をメインディッシュにコミカルなモノを含む5編の短編集。筆者お得意のネタであろう事が伺え、物語としては綺麗で程よい読み応えがある。一方で主人公の在り方が見方によってはある種、狂人的で人として欠けていると取れなくもなく、今巻だけでは魅力に乏しい。伏線は散りばめられているので彼をどう描くかで作品として魅力がまた変わると思うが、シリーズとしてその核心を引っ張ると核心に届く前に打ち切られる懸念も
読了日:08月12日 著者:野村 美月

百物語風ショートショート集。日常と薄皮一枚隣り合わせの場所にあるホラー。短い中でそういう「雰囲気」を語る巧さを感じられるが、モチーフに共通項のある作品もあれど基本、独立した短編未満の長さのショートショート集なので読みごたえを期待すると肩透かしな面はあり
読了日:02月17日 著者:辻村 深月

あの日、踏み出せなかったが故に終わってしまった、だけど今も囚われている大切な初恋に区切りをつける為に難病を抱えていた彼女を探す旅。旅先で色々な人の想いの形や区切りのつけ方に出会い、時に寄り添い、共感しながらあの日、踏み出せなかった一歩を踏み出す勇気を得る。全編通して穏やかな筆致、優しく透明感ある雰囲気の綺麗な物語。「これから」を感じさせるも多くを語らないスッとした幕切れがそんな物語の美しさを際立たせていた。
読了日:02月12日 著者:小川 晴央

個性の強い美少女JKが一風変わった切り口で古典名作の読書感想文を書き、それに纏わる日常の謎系ミステリが展開される第2巻。読書感想文パートの切り口は相変わらず面白いが、本編が2巻早々にしてキャラを持て余して物語を順序立てて必要な描写をしきれていない印象。キャラクター小説のレーベルなので致し方ないかもしれないが、キャラの属性ありきで「なぜ」彼は、彼女はそういう行動をしたのかが弱く、物語やキャラクターへの共感、説得力が薄かった。
読了日:02月11日 著者:平田駒

過去に「妖」の力を借りて行われた殺人事件を端とした富豪一族の遺産配分をかけた推理合戦で描かれるは、踏み込まざるべき場所へ踏み込んだ人間への因果応報。ミステリの定型シチュの中でそれを逆手に取るように虚構を重ねてより真実らしい虚構を構築する二転三転する展開の先、つまびらかにされる真実という流れはある種、推理小説の醍醐味に溢れていてこのシリーズらしい。また琴子と九郎、彼らの追う六花の本質、人ならざる者の危うさが具体的に語られ、今後のシリーズ展開も期待させる雰囲気もあった
読了日:02月10日 著者:城平 京

新キャラ続々、黒幕っぽいキャラも登場と新たな世界観の広がりを感じさせる新章らしい大学編スタートの第10巻。そんな中でも既存キャラに各々「らしさ」を感じさせるシーンが印象的に描けている辺りはさすが(個人的には空気読める後輩・朋絵とのやり取りが印象的)。またお話のテーマも『空気を読めるようになるという社会的生き物としての成長の中で見失った「自分」を改めて見つける』、このシリーズらしいお話。話の中心となった彼女がそんな思春期の壁を越え、また新しいステージへ踏み出していくラストは青臭くも眩しい清々しいモノでした。
読了日:02月07日 著者:鴨志田 一

俺たちの戦いはこれからだEND。学生さんの人生の岐路での決意と第一歩をファンタジーというフィルターを通して描くラストは清々しい後味、物語の伏線は黒幕がしゃべるという定番の巻き展開はあったものの最低限まとまった着地、と読了感は悪くない。それだけに「恋する女の子は強い」ヒロインふたりと振り回される守られ系だけどいざという時はその胆力で魅せる主人公というメインをはじめとしたキャラクターたちの魅力が高まってきた中での打ち切りまとめのような形となったのは惜しいなと感じる処。
読了日:02月07日 著者:和ヶ原 聡司

ちょっと鼻につく謎解き中毒・小鳩君とうかつに触るな危険小動物・小佐内さん、出しゃばらない「小市民」を目指す二人の高校生の日常の謎系シリーズ11年ぶりの新作。シリーズのサイドストーリー的連作短編でラストのカタルシスは本編に比べてやや落ちるも日常の謎系として各編含め綺麗に纏まっているのは流石。主人公ふたりの決して綺麗な正義感だけではない等身大感ある行動や思想の果てのほろ苦さある展開や「互恵関係」という浅すぎず、深すぎずな二人の距離感、小気味良いやり取りだったりはシリーズファンとしては懐かしく、非常に楽しめた。
読了日:02月02日 著者:米澤 穂信

猫たちと彼らを統べる猫神様が見守る未だ活気残る古き良き商店街にやってきた好奇心旺盛元気いっぱいといった小さな女の子の姿をした新しい神さま「みつける」さんが商店街の人達に寄り添い、失くしそうになっていた大切な「モノ」を見つけ、見つけさせてあげる物語。連作短編的構成で各話のオチや全体の流れは古典的ともいえる古き良き人情物語。そんな物語を今風な雰囲気をほんのりのせた筆致で描いているが、安易なラノベ的萌えやラブコメ要素はなく、人情物語に徹しており、結果、非常に読み心地の優しい温かい物語に仕上がっていた。
読了日:01月25日 著者:扇風気 周
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